nenaの気まま日記

日常でふと思った事感じた事などを気ままに書いて見る事にしました。

久し振りの深夜便

久し振りにラジオ深夜便のお世話になった。

最近は夜9時を過ぎると、もう本もテレビも受けつけなくなって

しまう日々が続いていた。

 

昨夜は何故か眠れずラジオに耳を傾けていた。

0時台の「五木寛之のラジオ千夜一話」が終わり、

1時台の「ラジオ文芸館」「吉村昭 作」「梅の蕾」が

黒沢保裕アナウンサーの朗読で始まるところだった。

 

深夜に聴く朗読は何故こんなにも心に沁みこんでくるのだろう。

朗読が終わった時、枕が涙でぬれていた。

吉村昭さんの飾り気のない作品と黒澤アナウンサーの語りが

ぴったりと合って、なおさらに心に響いたのだろう。

 

この作品は、東北の過疎の村、無医村の診療所に赴任してくる

千葉県のがんセンターに勤務していた将基面誠さんという

40代の医師とその妻の実話に基づいて書かれた作品だという。

 

私はこのドキュメンタリードラマを確かにテレビで観た。

昨年だったか、今年になってからか思い出せないが、

医師を三浦友和、その妻を伊藤蘭田野畑村の村長を寺田農

演じていた事、ラストのシーンに感動した事など、はっきり

覚えている。

 

「梅の蕾」は吉村昭短編集「遠い幻影」の中の1編らしいが、

他の短編も読んでみたくなった。

 

朗読はいい! 月曜午前1時台(日曜深夜)。

「ラジオ文芸館」で紹介された「梅の蕾」の内容を、そのまま

お借りしてここに書いてみる事にしました。

 

岩手県三陸海岸のある過疎の村、村長の悩みは医師不在の

村営診療所の運営だ。

その村へ千葉県の癌センターに勤務する堂前医師が家族でやって来た。

夫人は野草を摘むのが趣味で村人と親しみ、よく一緒に山に入った。

しかし、その夫人は白血病に侵されていた。

余命の長くない事を知る堂前は妻が命を燃やす最良の環境として

この村を選び、一家でやって来たのだ。

夫人は村での暮らしを楽しみ、十分に生きた。

彼女は村人に梅の苗木を贈り、村人は喜んでその苗木を庭に植えた。

その夫人が亡くなり、実家のある湘南の町で葬儀が行われて・・・」

 

葬儀に参列していた村長の目に飛び込んできたのは、

バスを連ねて堂前医師の奥様の葬儀に駆けつけた村人の姿だ。

 

葬儀の後、堂前医師は二人の子供を妻の実家に預け、再び

単身赴任として村に戻ってくる。

 

寒村の過疎の村のために奔走する村長。

素朴な村民の取った行動。

妻のために・・・

最先端の病院から一番働き盛りの年代に過疎の村へ赴任。

地域医療のために向き合う堂前医師の姿に・・・心打たれる。