眠れぬ夜は
時に眠れない夜がある。
本を読む気にもなれない。
何か良いテレビでもないかと、新聞のテレビ番組に目をやる。
1時55分から東海テレビで「三屋清左エ門斬日録」を見る事にした。
やはり藤沢周平の作品はいい。切なさが心にしみる。
先代藩主の御用人を勤めた清左エ門が家督を長男に継がせて隠居になった。
隠居になって、さて物語はどのように展開するのだろうかと気持ちがはやる。
いくつかの短編があってそれがつながって大きな一つの長編になっている。
北大路欣也演ずる清左エ門、少年時代からの友人で隠居仲間に伊藤四朗、
藤沢作品には欠かせない女性たち、蝉しぐれのおふくさん、海鳴りのおこうさん、
この残日禄では「白い顔」の波津、「梅咲くころ」の松江、小料理屋の女将みさ。
隠居生活に入った清左エ門が老いゆく日々の中で、いろいろな出来事に立ち向かう
姿を通して老いの心境や侘しさが感じられてたまらない。
清左エ門は自分の心のうちを決して表さない、それでいて周囲の人たちに優しい。
小料理屋のお女将と心を通わせながらも、そこで物語を終わらせてしまう。
そこが藤沢周平の作品の魅力なのかもしれない。